車中泊の結露対策!PCファンをベンチレーターに取り付けて車内を換気

車中泊の結露対策!PCファンをベンチレーターに取り付けて車内を換気

車中泊でおこる結露に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。結露を減らすためには、車内を換気するのが効果的ですね。

今回は結露対策として、クルマのベンチレーター(換気口)にパソコン用のファンを付けて換気する方法を試してみました。

実際に効果があったのか先にお伝えすると、ファンを使うと湿度の上昇を抑えることができました

結露を減らすための換気

換気というと空気を短時間で入れ換えるようなイメージがありますが、今回は、車内の湿度の高い空気を適度に排出して、車中泊でおこる結露を減らすのが目的です。

ファンを付けて換気できる場所

PCファン

ファンを付けて簡単に換気ができる場所を考えてみます。

窓を少し開けたところにファンを付ける

窓を少し開けたところにファンを付けるのが簡単な方法です。手軽な反面、使わないときの収納場所と脱着の手間がかかります。めんどくさがりな僕は使わなくなってしまいそうです。

バックドアベンチレーター

ハイエースやNV350キャラバンで見かける、バックドアにファンを付けるバックドアベンチレーターという方法もあります。これは穴をあけたり加工が大変ですね。

ベンチレーターにファンを付けて換気

そのほかに換気ができそうなのが、クルマにもともと付いているベンチレーター(通気口)です。正しい名称はクォーターベントダクトでしょうか。

ベンチレーターは、ドアを閉めたときに車内の空気を逃がしたり換気する役割をしています。

ベンチレーターにファンを付けて排気ができれば、車中泊するたびに設置するような手間もなく、電源を用意するだけで済みそうです。

リツくん

イメージとしては、レガシィに付いていた換気用のカーゴファンのような感じです。

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NV200のベンチレーター(クォーターベントダクト)

NV200 クォーターベントダクト

NV200はリアバンパーのなかにベンチレーターがあります。車内からは、タイヤハウスの後ろのルーバーを外すと見える位置です。

NV200 クォーターベントダクト
NV200のクォーターベントダクト

バンパーを外すとこのようになっています。外部電源を引き込んだときもここを通しました。

ベンチレーターの手前にファンを付ければ、うまく排気ができそうです。

ファンを回して排気すると車内が負圧になりますが、窓をあけなくてもエアコンを外気導入にしておけば、多少は空気が入りやすくなると思います。

MEMO
ベンチレーターは埃や水の浸入を防ぐためにフラップが付いているので、外気を取り入れる使い方はできません。

ベンチレーターにファンを取り付け

ファンの選択

車のベンチレーターにファンを取り付け

ファンは音が静かで風量の強いものが理想です。

なるべく大きなファンを使いたいところですが、スペースが狭いので80mmか大きくても92mmのファンが限界です。

結露を減らすのにどのくらいの風量が必要なのかは、使ってみないとわかりません。

風量が強くても、あまり音がうるさいと寝られなくなってしまうので、静音タイプのファンを買ってみました。

GELID Silent8:

  • ノイズレベル 18dBA
  • 定格電流 0.08A
  • 風量 20.72CFM
  • 静圧 1.05mmH2O

GELID Silent8のノイズレベルは18dBAで、このくらいだと静かな場所でもほとんど気になりません。消費電力も1W程度なので長時間の使用も問題ないです。

風量や静圧の数値は大きい方が高性能になります。このあたりを詳しく知りたい方は調べてみてください。

あまり考えずにファンを選びましたが、あらためて調べてよさそうだったのが、Noctua NF-A8 FLXというファンです。

Noctua NF-A8 FLX:

  • ノイズレベル 16.1dBA
  • 消費電流 0.07A
  • 風量 50.4m3h (29.7CFM)
  • 静圧 1.96mm H2O

ペックをみるとSilent8より静かで高性能です。

ファンの電源電圧 12V or USB 5V

パソコン用のファンは、12Vや5Vなど電源電圧に種類があります。

僕はポータブル電源のシガーソケットから電源を取るので12Vのファンを使いましたが、USBのモバイルバッテリーを使うなら、もともとUSB端子のファンを使うのが楽ですね。

風量の切替スイッチの付いたファンもあるので、調整ができていいかもしれません。

排気のテスト

ベンチレーターに取り付けたファンの排気テスト

ファンを仮固定して排気のテストをしてみます。

Instagram(@ritzcamper)のフォロワーさんに教えてもらった線香を使った方法を試してみると、バンパーの隙間から香りがしてきて排気できていることがわかりました。

NV200 Dピラー

ファンを付けた穴はトリムのなかやピラーなど、あらゆる場所とつながっています。

試しにDピラー上部のサービスホールをあけてみると、ここからも風が出てきました。

どこかでフタをしないと、ベンチレーターへうまく空気が流れないのかもしれません。とりあえずファンを付けてから考えることにします。

ファンの固定

ファンはステーを使って車両のボルトに固定しました。

ファンの向きは、プラダンで仮固定したように垂直にするつもりでしたが、手前にルーバーがくると風切り音がうるさかったので、穴のなかへ下向きに風が出るようにしました。

車のベンチレーターにファンの取り付け

ステーを90度曲げてM4のねじでファンと固定。車両側はM6のボルトを使うので、ボルトが通るように穴を広げて余分なところをカットしました。

適当に買ったステーですが、80mmのファンと穴位置がぴったりだったので簡単な加工で済みました。

車のベンチレーターにファンの取り付け

車両側は画像の2箇所のボルトを長いものに替えて、裏側でナットで固定できるようにしました。

ここは取り付け面が平らでないので、外径の大きなワッシャー(20mmくらい)が必要です。もとのワッシャーは、ボルトに組み込みになっているで外れません。

車のベンチレーターにファンの取り付け

取り付けるとこんな感じになります。

車のベンチレーターにファンの取り付け

ファンの向きが水平になったので、もう一度、線香で確かめましたが、ちゃんと車内の空気が排気できていました。

また、風がベンチレーターへ向かうようになったためか、Dピラーの穴からは風がほとんど出なくなりました。

プラダンで仮固定したときよりは、うまくベンチレーターから排気できている感じがします。導風板のようなものを作ろうと思っていましたが、このままでよさそうです。

ファンの電源の配線

車のベンチレーターにファンの取り付け

配線は、とりあえずルーバーの隙間からだして、実際に効果があるかテストしてみます。実用できそうならポータブル電源につなげられるように引き回そうと思います。

USBのファンとモバイルバッテリーを使う場合も、ルーバーの隙間から配線を出しておくのが簡単そうです。

ベンチレーターファンの効果をテスト

ファンの効果を確かめるために、実際に車中泊してテストをしました。

ファンを「使わない日」と「使う日」の2日間車中泊して、車内をグラフ付きの温湿度計で測って比べてみます。

タニタ TT-580 グラフ付き温湿度計

テストしたのは12月の上旬で、午前0時〜7時まで計測しました。車内の人数は1人です。

ファンの有無午前 0時午前 7時
なし外気温 9.5℃ / 湿度 61%外気温 8.5℃ / 湿度 66%
あり外気温 10.5℃ / 湿度 39%外気温 8.4℃ / 湿度 52%
テストした日の外気温と外の湿度

外気温は2日とも同じくらいで、湿度はファンを使った日のほうが少し低かったです。

なるべく条件をそろえるために、開始時の車内の湿度を60%くらいになるようにしました。

車内湿度の比較

ベンチレーターファンの比較 湿度グラフ

湿度の変化をみると、ファンを使った日のほうが開始時の湿度が高かったにもかかわらず、その後の上昇が抑えられているのがわかります。

車内温度の比較

ベンチレーターファンの比較 温度グラフ

車内温度の変化は、開始時から外気温と差が少なかったのであまり参考になりません。どちらの日も同じように推移しています。

テストの結果

ファンを回して換気した日は湿度の上がり方が緩やかになったので、効果があったと考えられます。

ファンの強さは調整が必要

ファンの力が弱かったからか、思っていたよりも湿度が上がりました。

車中泊する人数によっては、もう少し風量の強いファンを使ったりファンを左右に付けるなどして、調整する必要はありそうです。

リツくん

ちなみに、テストした日は車内と外気温の差があまりなかったので、結露はおこりませんでした。

ベンチレーターファンのいいところ

ベンチレーターファンのメリットは次のようなところです。

  • 脱着の手間がない
  • 窓をあけなくていい
  • 外から見てわからない

車中泊する度にファンを脱着するような手間がかかりません。一度取り付けてしまえば、あとはスイッチを入れたりUSB電源につなぐだけで使えます。

窓をあけなくていいので、騒音や防犯面でも少し安心です。外から見て車中泊しているのがわからないのもいいところですね。

さいごに

ベンチレーターファンは、換気能力は低いながらも車内の湿度の上昇を抑える効果が確認できました。

ファンだけでなく、寝る前にドアを開けて換気をするなど、ほかの対策も併用するとうまく結露を減らすことができると思います。

NV200以外の車種では、ベンチレーターがどのようになっているかわかりませんが、ぜひチャレンジしてみてください。