NV200に車中泊用のベッドを自作していきます。
車内で寝るためだけでなく、ダイネットのテーブルとベンチとしても使える構造を考えてみました。
最終的にベッドはマットとビニールレザーで仕上げますが、今回はベッドのベース部分の製作記事になります。
ベッドの構想
ベッド作りで重視した点
ベッド作りで重視したのは次の4点です。
- ベッドはクルマに据え付けないで普段は外しておける。
- 収納時はなるべくコンパクト。
- ベッド下に適度な収納スペース。
- レイアウトを変えてテーブル・ベンチとして使える。
リツくん
普段は普通のクルマとして
車中泊をするクルマでも、普段は普通に使いたいという方もいらっしゃると思います。
僕も日常では荷物を積んだりすることがあるので、ベッドは車に据え付けないで週末や旅に出るときだけベッドを組み立てて設置できるようします。
コンパクトに収納できるように
外したときのベッドの置き場所にも困らないように、できるだけコンパクトにしまえる構造が理想です。
ベッドの下は収納スペース
車中泊をしているといろいろと荷物が増えていきますね。収納スペースがないと寝るときにベッドの上が荷物だらけになってしまうこともあります。
ベッドの下は登山道具やキャンプ道具などの置き場所として、広いスペースを使えるようにしたいです。
ダイネット (テーブル、ベンチ)としても
ダイネットとして狭いながらも座って食事ができるように、ベッドの一部がテーブルになる構造も考えます。
ベッドの構造
条件をクリアするために、図のような分割式のベッドを考えました。
車中泊用のベッドを自作するときは、材木やイレクターを使ってフレームを作ることも多いですが、収納時のことを考えて合板に直接脚を付けることにしました。
ダイネット展開時は分割したボードがテーブルになり、ベッドの一部をベンチとして使います。
セカンドシートのレイアウト
NV200のセカンドシートは、完全に折りたたんでしまう方法と、背もたれだけを倒してその上にベッドを作る、2通りの方法が考えられます。
今回は背もたれを倒した上にボードを載せることにしました。
この方法だとボードの脚がいらなくなるので、部品点数を減らすことができます。
また、セカンドシートを使うときにボードをどけるだけで済むのもメリットです。
6:4分割式のシートなので上に載せるボードも6:4分割で作りたくなりますが、実際に試してみると、小さいシート側が上に乗ったときに沈み込みが大きく、左右のボードで段差が出そうだったので5:5の2分割にしました。
ベッドサイズの選定
ベッドの高さ
ベッドはフラットに作るのが普通ですよね。はじめは、セカンドシートの高さに合わせてフラットにベッドを作ろうと考えました。
試しに端材でベッドを作ってみると、寝るときは問題ありませんが、ベッドの上に座ったりダイネットでベンチとして使うときに、座面が高すぎて天井に頭があたって窮屈です。
このままでは実用的でないのでベッドをフラットにすることはあきらめて、後ろ側の高さを少し下げることにしました。
リツくん
ベッド下の収納スペースの確保
ダイネットのレイアウトのときは座面は低い方が天井に余裕ができていいのですが、あまり低すぎると今度はベッド下の収納スペースが減ってしまいます。
ベッドの下にはキャンプ道具を入れているトランクカーゴが収まるように高さを考えます。
今使っているのは、無印良品のPP頑丈収納ボックス・特大という収納ボックスです。
最近は同形状のオリーブやカーキのトランクカーゴもよく見かけるので、キャンプ道具としてはスタンダードな収納ボックスでしょうか。
トランクカーゴの高さは37cmだったので、少し余裕をみてベッド下は39cmに決めました。
ベッドには最終的にマットを付けるので、この時点では正確な座面の高さがわかりませんが、座ったときは頭が天井に当たるか当たらないかという感じです。
天井を板張りしたときもなるべく天井が低くならないように意識して作りましたが、この辺が限界のようです。
NV200 車の天井を羽目板で板張りにしましたベッドはフラットではなくなりましたが、試しに横になってみると意外と気になることはなさそうです。
リツくん
ベッドの幅
ゆったり眠るために、ベッドのサイズはなるべく大きくしたいところですね。
大きすぎると乗り降りが困難に
セカンドシートの上のボードはスライドドアぎりぎりまで幅を広げたくなりますが、ボードがドアの近くまでくるとステップが使いづらくなってしまい、スライドドアから乗り降りするが困難になりました。
雨の日などは大変そうです。
「ベッドの広さ」と「乗り降りのしやすさ」のどちらをとるか迷いますが、僕は乗り降りのしやすさをとって、ベッドはシートと同じ幅にすることに決めました。
それでも幅は約1,250mmとれるので、セミダブルのベッドくらいになります。
荷室のほうは、なるべくいっぱいまで幅を広げます。
ベッドの長さ
セカンドシートの足元は、荷物置き場に
ベッドの長さも大事ですが、前席との間をあけておくとセカンドシートの足下に脱いだ靴や荷物を置くことができます。
実際に車中泊するときは、このようなスペースがあると便利です。
ベッドの下の収納とは別によく使う荷物を置く場所としても使いたいので、ベッドの長さはシートと同じくらいで作ることにしました。
余談ですが、いつか買おうと思っている車載用の冷蔵庫もここに置けそうです。
画像は製作後のものですが、ベッドの長さは約1,720mmになりました。
僕は身長より少し長さが足りませんが、バックドアとベッドの間に少し隙間をあけているので、バックドアからの距離は約1,750mmになり、寝るのに不便はなさそうです。
1,800mmくらいまで長くすることもできましたが、セカンドシートの足下へのアクセスを優先しました。
ベッドの製作
ベッドのサイズなどが決まったので、製作にかかります。
採寸、型取り
荷室の側面は型取りをして、車体の形状に合わせていきます。
型取りゲージがあると少し作業が楽になります。
前方向はセカンドシートをリクライニングさせても干渉しない位置へ。
後ろはバックドアに干渉しない位置へ。バックドアを勢いよく閉めたときも当たらないように間隔は少し広めです。
テーブル、ベンチのサイズ
採寸や型取りをしながら、テーブルとベンチに分割するサイズも決めていきます。
採寸していくと、荷室部分のボードの前後方向が約1,080mmになったので、テーブルの長手方向は半分の540mmに決めました。
もう1辺は、ベンチの奥行きも関わってくるので、座りやすさとテーブルサイズのバランスを考えて、450mmにしました。
テーブルは2人で使う想定ですが、あまり大きいと邪魔になるかなと思い、少し小さめのサイズです。
テーブルやベンチの使いやすいサイズは人によって変わると思います。
両サイドのボードは、車内の寸法からテーブルの幅を引いてサイズを出しました。
リツくん
合板のカット
ベッドはフレームのない構造なので、強度を出すために厚めの21mmの合板を使いました。24mmと迷いましたが21mmでも十分そうです。
厚手の合板はホームセンターには選べるほど種類が置いていないかもしれませんが、ホルムアルデヒドの放散が少ないF☆☆☆☆のものがおすすめです。
参考 ホルムアルデヒド情報-JASホルムアルデヒド放散基準値|公益財団法人 日本合板検査会公益財団法人 日本合板検査会フレームなどで支える構造の場合は、薄い合板のほかに、ランバーコアも反りにくくていいですね。
合板はホームセンターで指定したサイズにカットしてもらいました。
最終的にマットを入れてビニールレザーをかぶせるので、生地の厚みなどを考慮して少し小さめにカットしています。
両サイドの合板は、型取りした形状をけがいてジグソーでカット。
角の仕上げはどうするか迷いましたが、丸くアールをとりました。ジグソーは円切り用のブレードを使えば、きれいなアールに切ることができます。
小口は軽くやすりがけをして、あとあと、ビニールレザーをかぶせたときに当たりそうな部分も面取りしておきました。
合板のカットが完了です。
セカンドシートに載せるボードも、四隅にアールをとりました。
ボードが正方形に近く向きがわかりにくいので、シートの形に合わせて1ヶ所アールを大きくしました。
脚の取り付け
ベッドのベースになる左右のボードに脚を取り付けます。
脚はIKEAのADILSを流用
脚は簡単に取り外しできるものを探して、IKEAのADILS (オディリス)というテーブル用の脚を使いました。
ADILSはねじで脱着が可能で、脚の底には高さを微調整できるアジャスターも付いています。
耐荷重など詳細はわかりませんが強度は十分ありそうです。比較的手頃な価格なのもいいところです。
脱着部分のねじは少しなめやすそうな感じはするので、取り扱いは気をつけることにします。
脚のカット
脚はそのままだと長すぎるので、パイプカッターを使ってカットします。
ADILSのパイプ径は約40mmなので、少し大きめのパイプカッターが必要です。
ベッド下の高さは39cmに決めたので、アジャスターや取り付け用のプレートの厚みを考慮して、パイプの長さを決めます。
長さが決まったらカット。
パイプカッターは1度に刃を深く入れすぎないで、回して締めるのを繰り返していけばキレイにカットできます。
脚の底に付いているアジャスターは、パイプにはまっているだけでしたので、引っ張ると外せました。
パイプをカットしたあとに中から押すと外しやすいです。はめるときはハンマーで叩いて入れました。
切り口は多少バリがでるので、ケガをしないように軽くやすりをかけます。面倒ですが、さび止めのタッチアップもしておきました。
取り付け用のプレートは位置を決めてねじ止めします。
付属のねじは少し長めで、板厚21mmだと表側にねじが出るので気を付けてください。
脚を8本取り付けたら完成です。ガタつきもほぼありませんでした。
テーブル部分、セカンドシートの上のボードの受け
テーブル部分とセカンドシートに載せるボードは、脚を付けたボードの裏側にアルミのフラットバーを取り付けて支えます。
材木でもいいのですが、木の厚みだけベッド下の収納高が減るので、薄くて強度のある金属を使いました。
アルミフラットバー
フラットバーは、鉄や、同じアルミでも生地材の方が低コストですが、加工のしやすさと表面強度などから、アルマイト処理されたアルミのフラットバーを使いました。
角はそのままだと危ないので、大きめにアールをつけておきます。
グラインダーを使うと楽ですが、アルミなので鉄工用の棒やすりでも時間をかければ削れます。
仕上げに320番くらいの耐水ペーパーで磨くと、手で触ったときの引っかかりもなくなります。
フラットバー取り付け (テーブル側)
テーブルのボードを支えるフラットバーは、合板に爪付きナット(Tナット)をいれて、ねじでしっかりと固定します。
ねじはM5サイズを使いました。
爪付きナットの取り付け
フラットバーと合板をねじ止めする位置を決めたら、下穴をあけて爪付きナットを取り付けていきます。
ベッドに乗ったときに全体重がかかることもあるので、固定箇所は多めにしました。
爪付きナットの取り付けは、ハンマーで叩いて入れてもいいですが、クランプを使うと、ぐっと押し込むことができます。裏側は当て板をしてください。
アルミフラットバーのザグリ加工
フラットバーを固定するねじは、頭が出ないように皿ねじを使うので、皿もみの加工が必要になります。
加工は、穴あけと皿もみが同時にできる段付きドリルを使いました。
プロのような仕上がりとはいきませんが、ズレもなく十分な皿もみのザグリ加工ができました。
穴あけが済んだら、皿ねじでフラットバーを固定します。
フラットバー取り付け (セカンドシート側)
鬼目ナット取り付け
セカンドシート側のボードを支えるフラットバーは、ベッドの組み立て時に取り付け、ベッドの収納時には取り外しできるようにしなくてはなりません。
ここは脱着を繰り返しても大丈夫なように、爪付きナットより強力そうな、ねじで取り付ける鬼目ナット(Jタイプ)を使ってボルトでフラットバーを固定することにしました。
鬼目ナット(Jタイプ)は、本来はテーブルの脚のアジャスターなどに使われる部品です。
下穴をあけて鬼目ナットを木ねじで固定します。木ねじはM3.5サイズでした。
鬼目ナットは片側のボードに3個づつ取り付けました。
フラットバーの穴あけ
フラットバーはボルトで固定するので、ボルトを通す穴をあけます。
M8のボルトを使うので、9mmのドリルで穴あけしました。少し遊びがないとフラットバーを取り付けるときに大変になってしまいます。
ボルトはノブスターでノブボルト化
固定に使うボルトは工具を使わなくてもいいように、ノブスターを使って手で回せるようにしました。
ノブスターは、市販のボルトを組み込んで、好みの長さのノブボルトを作れる便利な商品です。
フラットバーを取り付けるとこのようになります。
タイダウンフックの取り付け
車内にベッドを置いただけでは走行中に動いてしまうので、車両に固定するためのタイダウンフックを取り付けます。
固定はラッシングベルト (荷締ベルト)を使うので、車両側のフックに合わせて締め付けやすい位置に取り付けます。
フックの取り付けは爪付きナットを使いました。
タイダウンフックがM6サイズだったので、ここはM6の爪付きナットです。
車両のタイダウンフックは荷室に4箇所あるので、脚を付けたボードに2個ずつ取り付けました。
ベルトで締めると、このようになります。
少し走ってみましたが、ガタガタいうこともありませんでした。ラッシングベルトはあまり強いテンションで締める必要はなさそうです。
ラッシングベルトは長すぎるのであとでカットしました。カットしたところは、ほつれ止めにライターであぶっておきます。
ベッドの強度をテスト
ここまでベッドの強度は想像上で進めてきたので、実際にベッドを組んで確かめてみます。
ベッドに乗ってみると、セカンドシート側のボードを支えているフラットバーの強度が少し足りない感じがありました。
ベッドを使うときに余計な心配はしたくないので、フラットバーの下に脚を1本追加することにします。
フラットバーに脚を取り付け
IKEA ADILSに付属しているプレートを加工して取り付けます。
フラットバーからはみ出す部分をカットして、M5の皿ねじとナットで固定しました。
追加する脚は、ほかの脚よりもフラットバーの厚みだけ短くなるので、長さを計算してカットします。
取り付けるときにわかりやすいように、ここだけ脚の色を変えました。
再度ベッドを組んでみると、強度は問題なさそうです。
フラットバーに滑り止めゴムを貼り付け
ベッドの完成後にフラットバーへ滑り止めのゴムシートを貼りました。
フラットバーの上に載せたテーブルの板はある程度ぴったりとはまっていますが、急な加速、減速で動いてしまう可能性もあるためです。
完成
ベッドのベース部分が完成しました。このままでも上にマットを敷けば使えそうです。
ベッド展開時
ダイネット展開時
セカンドシート使用時
セカンドシートの上はこのようになります。
ベッド作りでは、車内で寝ること以外にも、荷物の収納場所や実際の使い勝手を考えるのが大切なポイントです。
車種を問わず、これからベッドを作ってみようと考えている方のアイデアや参考になれば幸いです。
残る作業は、マットの取り付けとテーブルの製作です。
テーブルの製作、マットの取り付けはこちら。
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